CLINIC
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近年、男性も美容に興味を持つ方が増え「美容男子」という言葉を耳にする機会が増えました。当院でも、以前は女性の患者様がほとんどでしたが、2023年はお越しいただいた方の約30%が男性でした。女性ばかりのイメージがあってハードルが高いイメージを持たれてしまいがちな美容医療ですが、今ではほとんど毎日男性の患者様にもお越しいただいています。最初はご家族と一緒に来院されても、慣れるとおひとりでいらっしゃる方も多いですし、最近は初めからご自身で調べてお越しいただく方も増えています。営業職や接客業などで「営業先の方やお客様にいい印象を持ってもらいたい」とご希望の方や、「家族の結婚式を綺麗になって迎えたい」といった理由でお越しいただく方も多いです。
そこで今回は、70歳代男性の症例をもとに、男性に人気の施術である削りとアキュチップについて、詳しくお話させていただこうと思います。
シミに対しては、まずアキュチップを推奨しています。詳細は当院の美容コラム「ライムライト・アキュチップ」とは?をご参照ください。アキュチップはメラニンという色素に対し、メラニンに吸収されやすい狭い波長の光をピンポイントでシミへ照射して薄くする治療です。シミを狙って照射するために、先端のクリスタル部分は6mm直径と細くなっており、できるだけシミ以外の正常な皮膚組織を傷つけずに照射ができるメリットがあります。
表面が膨らんでボコボコとしているイボは、局所麻酔をして削りを行う必要があります。削りとは俗称で、電気焼灼(しょうしゃく)法といいます。当院では電気メスを使用します。電気メスは手術室で使用される医療機器で、高周波電流を用いて組織の切開・凝固を行うために使用します。
切開は文字通り切る行為です。蒸散という作用で切開することができます。凝固とは組織のたんぱく質を変性させることです。目玉焼きを作るときに黄身や白身が熱で固まるようなイメージです。凝固は主に止血をするときに使用します。
また、メスというと刃物を想像するかもしれませんが、刃物ではありません。先端には刃物ではなく、先の細い針の様な物が付いています。先が細いため、正常な皮膚をできるだけ傷つけずに治療することができます。
針の先端から電子を流し、その電子同士がぶつかることで発生する熱や、組織に衝突することによって生じる熱で、イボを瞬時に蒸散・熱凝固させイボを焼き切ります。
またイボが大きすぎる場合や皮膚の深いところまである場合は、削りのみでは対応できない場合があります。大きさには明確な基準はなく、施術を行う医師の判断によります。
イボが深い部分にあるからといって深部まで削ってしまうと、仕上がりがへこんでしまうことがあります。そうならないための対応として手術療法をご提案することがあります。切除縫合術といって局所麻酔をしてイボの根っこまで切除します。縫合を行うため、外観が大きくへこむ心配はありません。
アキュチップ・削りはそれぞれシミ・イボに特化した治療です。例えばシミもイボも両方気になるという方は、気になる患部の状態に応じてアプローチの仕方を変えて、アキュチップ・削りを選択し、同日に行うことも可能です。
一般的に男性は、女性に比べてシミができやすいとされています。一概には言えませんが、日常的に紫外線対策が定着していないこと、皮膚の環境が整えられていないこと(保湿の習慣がない・髭剃り)、アルコールや喫煙率が高いことが挙げられます。また体表面積が広いため、単純にシミの数も多くなります。
皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層に分かれており、それぞれ役割を持っています。
シミ・イボができるとされている表皮は、厚さ約0.2mmのとても薄い部分で、0.2mmの中でさらに4層に分かれており、表面に近い方から、角質層・顆粒層・有棘層・基底層となっています。おもに、表皮の最も深いところにある基底層で発生した、角化細胞からなっています。健康な皮膚は、基底層から表面に向かってターンオーバーが起こり、新しい細胞と入れ変わって、最後は垢となって代謝されます。
ターンオーバーが乱れる原因としては、疲労やストレス、生活習慣の乱れ、加齢などがありますが、代表的なものが紫外線に曝されるなどの外部からのダメージがあります。
紫外線が皮膚にあたると、紫外線から細胞を守るために外壁を固める意味で表皮が厚くなります。またメラノサイト呼ばれる細胞では、メラニンを多く生成します。メラニンは、紫外線が細胞を壊してさらに深くまで深達してしまわないように、紫外線をキャッチしてくれます。そうすると皮膚が茶色や黒っぽく見えます。
紫外線で炎症を起こしてターンオーバーが乱され、メラニンが代謝されなかった結果、シミが発生してしまいます。
紫外線にさらされて皮膚の細胞が異常に増殖し、増えた細胞が肌の一部で盛り上がります。さらにメラニンが活性化されて色味が濃くなった結果、イボが発生します。
境界が明瞭なもので、極小さいもの~10円玉くらいの大きさの茶色いシミの事を指します。なかなかファンデーションでは隠せないほどの濃さのものもあります。日光性色素斑の原因は紫外線や加齢です。長年の紫外線による肌へのダメージが少しずつ肌に蓄積されて、シミになっていきます。このシミが長年にわたって放置されると、次第にイボになっていきます。
雀卵斑(じゃくらんはん)は別名そばかすとも呼ばれます。頬にとても小さい1mmほどの斑点のシミが多数認められます。原因は紫外線や、遺伝的な要素もあるそうです。皮膚に存在するメラノサイトがメラニンを過剰に産生してできるシミです。5~6歳ごろからできはじめることが多いです。思春期以降、シミが気になる10~20歳代の方のシミは、雀卵斑であることが多く、特に女性に現れることが多いです。
シミが気になるという方の中で、先ほどの日光性色素斑と並んで多いのが、肝斑です。30~40歳代以降のアジア人女性に多く見られるシミの一種です。境目が不明瞭で頬や鼻の下、額に対照的に現れることが多く、くすみのようなモヤっとした茶色のシミです。原因は紫外線、女性ホルモン、摩擦、刺激の強いレーザーと言われています。まれに男性でも認められる場合があります。
紫外線やニキビ、やけど、怪我などの炎症によって発生するシミです。刺激の強いレーザー治療や肌を強くこすることによって炎症が起き、シミが出現します。
女性に多く、10~20歳代にかけて発症することが多いシミです。真皮という場所にメラノサイトが存在しています。シミは左右対称で頬に多く、鼻翼や鼻背にも現れることがあります。色はやや青色に見えますので、茶色の雀卵斑とは区別することができます。原因はまだはっきりと解明されていませんが、遺伝や女性ホルモン、紫外線、摩擦の影響ではないかと言われています。
イボのご相談で多いのが脂漏性角化症です。紫外線や老化が原因とされています。紫外線が原因とあって、顔や手の甲、頭部など比較的紫外線にさらされやすい部分にできます。メラニンの蓄積(日光性色素斑)が更に蓄積を重ねて盛り上がった状態のことです。触るとボコボコしています。これは平坦なシミと区別ができます。イボは立体感があり、女性の方でもお化粧では隠しにくいものです。シミに気が付いた時点でなるべく早くシミの治療をするとイボ(脂漏性角化症)を予防することができます。
皮膚には、汗を排出する汗腺というものがあり、汗腺が異常増殖したものが汗管腫です。原因ははっきりとわかっていませんが、遺伝的な要素があると言われています。下まぶたにぽつぽつと集まってできるイボで、エクリン汗のう腫と見た目が似ています。汗管腫は一年中ありますが、エクリン汗のう腫は汗の多い夏場に増え、汗の少ない冬はしぼむと言われています。汗管腫は削りが適応で、エクリン汗のう腫はマイクロボットクスが適応になります。マイクロボトックスは、皮膚の浅い部分にボトックスを注射する施術です。毛穴の開きや小ジワ・ちりめんジワに対して使用されることが多いですが、エクリン汗腺にも作用してエクリン汗のう腫を一時的に改善することが期待できます。マイクロボトックスに関しては、後日別のコラムで詳しくご説明させていただきます。
とても柔らかい数mmの小さいイボです。首や脇にできることが多く、老化や着衣やネックレスによる摩擦が原因とされています。一つ一つはとても小さいのですが、他者から見えてしまう首元に多数できてしまうため、気になる方が多いです。1mm以下のとても小さなものは、剪刀(ハサミ)で切除することができます。大きいものに関しては削りの処置を行います。
皮脂を分泌する脂腺が異常増殖したものです。色はややだいだい色で数mmです。男性ホルモンとの関わりが高いと言われていて、中年以降の、眉間や頬、鼻、額が好発部位です。原因は不明ですが、中年以降の方に多いことから加齢が関係していると言われています。当院での治療は削りを行いますが、切除しても再発することがあります。
手のひらや足の裏、手足の指にできることが多く、まれに顔にできることもあるイボです。ヒトパピローマウイルスの皮膚への感染が原因とされていて、子どもから大人まで年齢関係なくできます。見た目はタコや魚の目に似ています。表面にざらつきがあり、中に黒い点(ウイルスによって異常増殖した毛細血管)が見られます。治療は大きさや部位にもよって異なりますが、当院では削りで対応しています。保険診療ですと、液体窒素で治療するクリニックもあります。当院には液体窒素のご用意はございませんので、あらかじめご了承ください。
アキュチップは光治療ですので、シミに対して局所麻酔は行いません。輪ゴムでパチっと弾かれるような軽いお痛みがありますが、一瞬で消失します。
削りに関してはイボの付近に局所麻酔をしますので、削っている最中の痛みはありません。もしお痛みがあるようでしたら、途中で麻酔を追加することもできます。
施術前の状態や個人差があるので一概には言えませんが、1回の効果は実感しやすい施術です。アキュチップは削りと比較すると少しマイルドな施術ですので、その分回数がかかります。削りの処置は1回で除去できることが多いですが、施術後の仕上がりをよくするために軟膏処置やテーピング、紫外線ケアが大切になります。
初めて施術する場合は、シミのメラニン色素が濃いため反応しやすいですが、1回の施術で全てのメラニン色素を分解することは難しく、月に1回を4~5回程度行うとより効果がしっかりと感じられます。70歳代男性のこの方は、シミとイボに対して削りとアキュチップを同日に行いました。1回でも十分効果がありましたが、さらに効果を求めて合計2回の施術でこのような結果になりました。
シミとイボはふくらみがあるか、表面に凸凹やざらつきがあるかという簡単な判断方法もありますが、最終的には医師の診察で判断いたします。ホクロは正式名称を色素性母斑(しきそせいぼはん)といい、母斑細胞が表皮と真皮の境目もしくは真皮の中に存在していてやや深いところにあり、メラニン色素を作り出すため褐色や黒色に見えます。
まだ小さなホクロは削りやレーザーで治療する場合もありますが、大きすぎるイボと同じように深いところにあるホクロに対して削りを行うと、深いところまで削る必要があるため仕上がりがへこんでしまいます。そうならないために、ホクロに対しては保険診療である切除縫合術を推奨することがあります。またホクロには良性・悪性があるため、悪性が疑われる場合は、切除縫合を選択して病理検査で調べたほうが安心です。
ご自身で判断が付かない場合は、一度カウンセリングで拝見させていただき、一緒に治療方針を決めていきますので、ご安心ください。
施術の前後は日焼けをされないように十分お気を付けください。アキュチップ・削りの施術はいずれも皮膚に侵襲・ダメージが少なからずあります。施術前に日焼けをしてしまっていると、色素が濃くなって診断がしにくくなってしまいます。
日常生活範囲内の日焼けでしたら問題ありませんが、一日中のスポーツやレジャーなどで紫外線を浴びる機会が多い方は特に気を付けましょう。またアキュチップは色味に反応する機械ですので、シミ以外の日焼けした肌まで光を受けてしまい、強い痛みややけどにつながるリスクがあります。また施術後に日焼けをすると、メラニンが過剰に生成され、色素沈着を起こしてしまいます。
シミの場合は、1回の施術ごとに少しずつお色味が薄くなり、大体4~5回で目立たなくなります。照射するシミの数にもよりますが、お冷やしの時間も含めて10~15分程度で終了します。
削りの場合は、1回の施術で除去を完了することができます。麻酔を行いますが、除去自体は5分程度で終了しますので、短時間で治療を終えることができます。
顔だけではなく、首や手の甲などは他の人から見られやすく気になりやすい部位ですので、シミやイボができると気になる方が多いです。アキュチップ・削りともに、顔以外の部分の治療を同日にまとめて行うことが可能です。
アキュチップ・削りともに侵襲の小さな治療です。施術後に紫外線対策を行う必要がありますが、液体窒素やレーザーと比較して、色素沈着のリスクが低いです。
今回のご紹介はここまでです。お読みいただきありがとうございました。次回更新は4月中旬、「アキュチップ・削りのおすすめの方・違い・施術の流れと頻度・まとめ」についてご案内いたします。
アキュチップ・削りの治療についてご興味のある方、是非お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。また、LINE公式アカウントでもお得な情報などを配信していますので、画面右下からLINE友だち登録をお願いいたします!
PROFILE
山崎 和紀(やまざき かずのり)
杏林大学医学部 卒業
杏林大学医学部附属病院 勤務
名古屋大学医学部附属病院形成外科 勤務
静岡済生会病院形成外科 勤務
虎の門病院形成外科 勤務
東京西徳洲会病院形成外科部長就任
2018年アンデュースキンケアクリニック院長就任
日本専門医機構形成外科領域専門医
日本美容皮膚科学会正会員
サーマクール認定医
アンデュースキンケアクリニック
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