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2024.07.26【医師が解説】子どもから大人まで悩ませる「ニキビ」◆ニキビとは・種類と症状・原因◆

こんにちは、アンデュースキンケアクリニック院長の山崎です。

今月は学生さんが夏休み期間ということもあり、毎年7・8月は、学生さんの患者様のご来院が多くなります。
僕は学生の時からスポーツが好きで、意外と言われますが、大学生の時はボート部に所属していました。今は「美肌のために日焼けは厳禁!」といっていますが、大学の夏休み期間は相模湖などに合宿や練習に行っていたので、真っ黒に焼けていました。今のように美容に気を使っていなかったですし、部活でたくさん汗もかいていたので、その時代はニキビや肌荒れで悩まされていました。
数年前からマスク着用の機会が増え、長時間のマスク着用で雑菌が繁殖したり、擦れたりすることでニキビができてしまって、マスク着用義務がなくなっても逆に外せなくなってしまったといったお声もあります。原因は様々ですが、子どもから大人までニキビに悩まされている方はたくさんいらっしゃいます。

そこで今回は、ニキビについて詳しくご説明させていただきます。

1.ニキビとは?

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ニキビは正式名称を尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)と言い、古くなった皮膚細胞の堆積物(たいせきぶつ)や細菌、皮脂などが影響して毛穴に起こる、慢性的な炎症を指します。ホルモンの影響を受けるため、思春期以降によく見られますが、成人した大人でも悩まされている方は多いです。診断に特別な検査方法はありませんので、視診や問診で診断される場合がほとんどです。主に顔面や胸、背中などによく発生し、毛穴に細菌が繁殖することによって慢性的な炎症になっていきます。

重症度に個人差はありますが、世界の全人口の80%、日本では90%の人が生涯で一度は経験すると言われています。ニキビは必ずできるものとして受診しない方もいますが、ニキビ治療は早ければ早いほど経過が良いです。悪化してからの治療ですと、長期間の治療になってしまい、放置し過ぎるとニキビ瘢痕(はんこん:表面がケロイドのように赤くボコボコした状態)やクレーター(炎症が引いても、ニキビがあった肌付近が深くへこんでしまった状態)になってしまうことがあります。美容皮膚科に行くべきか悩まれている方や大袈裟ではないか、恥ずかしいと考えている方も、いつでもご相談ください。

保険治療では、内服薬や外用薬を使用して治療することが多いです。薬で治らない方やニキビができる前に予防したい方、治ってもすぐに悪化しやすい方などは自費診療で治療していきます。ニキビ治療が初めての方や未成年の方はまず、保険診療から初める方が多いです。その後は経過を診察させていただき、保険診療のみで継続するか、もしくは保険診療を行っていても改善しない・より効果が欲しい方は、自費診療おすすめしています。入学式や卒業式、結婚式などの大切なイベントまでに早く治したい方や長い間他院で保険診療を行っていても改善がなく、セカンドオピニオンでご来院いただいた方などは、初めから自費診療を希望される方もいらっしゃいます。カウンセリングでお悩みをお伝えいただき、その方に適応の治療をご提案させていただきます。

2.ニキビの種類と症状

ニキビには種類があり、白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビ、紫ニキビに分類されています。悪化の段階によって症状はさまざまです。

① 白ニキビ(閉鎖面皰:へいさめんぽう)

ニキビの中で最も初期段階の症状です。角質で毛穴が塞がれ、皮脂が溜まることで白く盛り上がってしまった状態です。無理やり押しつぶしたり、不衛生な手で触れたりすると炎症が起き、悪化してしまいます。

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② 黒ニキビ(開放面皰:かいほうめんぽう)

白ニキビからやや悪化した症状です。詰まった皮脂と汚れが毛穴に収まりきらず、皮膚表面に飛び出して空気に触れることで酸化し、黒く変色した状態です。

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③ 赤ニキビ(紅色丘疹:こうしょくきゅうしん)

黒ニキビからさらに進行した症状です。赤ニキビは炎症ニキビとも呼ばれ、ニキビの原因であるアクネ菌が溜まった皮脂を栄養として増殖している状態です。

赤ニキビ.png

④ 黄ニキビ(膿疱:のうほう)

ニキビの最終段階の症状です。炎症を起こしたニキビが化膿してしまい、黄色い膿(うみ)となって表面に現れた状態です。炎症が目に見える範囲だけでなく、肌の奥まで広がっている可能性があります。痛みを伴う場合もあり、膿を排出できたとしても、ニキビ跡になるリスクがあります。

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⑤ 紫ニキビ(嚢腫:のうほう/硬結:こうけつ/結節:けっせつ)

最終段階の黄ニキビからさらに悪化した症状です。症状が極限まで悪化し、毛穴の周りまで広範囲に赤紫~黒紫色に変色した状態です。炎症を繰り返し起こしていると、表面が異常に盛り上がったり、硬くなったりします。ひどい場合だと、複数個の膿が溜まったニキビが、皮膚の下でつながってアリの巣のようになってしまっていることがあります。

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3.ニキビの原因

肌の異常な状態を知るために、まずは肌の正常な状態についてご説明いたします。

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人間の皮膚は、外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層になっています。さらに表皮は外側から「角質層」「顆粒層(顆粒層)」「有棘層(ゆうきょくそう)」「基底層(きていそう)」の4つに分かれています。表皮の基底層では、日々新しい細胞が生まれ、表面の層に押し上げられていきます。最終的には肌の表面から垢になって剥がれ落ちます。この「細胞が一定周期で生まれ変わる代謝のしくみ」のことをターンオーバーと言います。

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ターンオーバーが乱れると、古くなった角質が剥がれ落ちずに表皮の中に残ってしまいます。古い細胞が残ると、細胞間の保湿成分が作られにくくなり乾燥していきます。また古い細胞が多量に溜まった結果、次第に毛穴を塞いでいきます。
ターンオーバーの周期は28日くらいが理想的ですが、加齢とともに徐々にペースダウンして長くなります。20代で28日、40代ではおよそ倍の55日に変化します。子どものときは傷の治りが早く。成人してからは治りが遅くなるというのは、このターンオーバーの周期が関係していると言われています。

① 過剰な皮脂の分泌

皮脂とは、毛穴のそばにある皮脂線から分泌される油のことです。肌の保湿や老廃物、有害物質を排出する働きがあります。しかしこの皮脂が多量に分泌されると、毛穴の中で皮脂がどんどん溜まってきてしまいます。正常に分泌されなかった皮脂はやがて炎症を起こす原因となってしまい、白ニキビを形成してしまいます。

② 角質が毛穴の出口を塞いでしまう

ターンオーバーが何らかの理由で乱されてしまうと、古い角質が剥がれ落ちずに表面に蓄積されてしまい、毛穴の出口を塞いで皮脂や老廃物が出ていくことができません。その結果、皮脂や老廃物が溜まってしまい、炎症を起こしたり細菌が増えたりしてニキビになっていきます。

③ アクネ杆菌(かんきん)の増殖

ニキビは英語でアクネといい、アクネ杆菌というニキビのもととなる菌があります。アクネ杆菌は皮膚の常在菌で、通常は悪さをしません。常在菌にもたくさんの種類があり、それぞれがお互いに作用しあって肌の均衡を保っています。しかしアクネ杆菌が増えすぎると均衡が崩れてしまい、ニキビが発生してしまいます。アクネ杆菌は皮脂をエサとしているため、増えた皮脂はアクネ杆菌を活発にし、増殖させてしまいます。アクネ杆菌を正常に戻そうとして、好中球が戦って炎症を起こします。これが赤ニキビや膿を持ったニキビになっていきます。

④ ホルモンバランスの影響

思春期以降にニキビが多くなることがありますが、これはホルモンが変化する影響です。
ニキビに関与するホルモンには、男性ホルモンと女性ホルモンがあります。人間は男女関係なく、両方のホルモンを持っています。男性ホルモンはテストステロンといい、皮脂を多く分泌させる働きがあり、さらに皮膚を分厚くするため、ターンオーバーにも影響を及ぼしてしまいます。

女性ホルモンはさらにエストロゲンとプロゲステロンという2種類に分けられます。エストロゲンは生理が終わって7~10日の間が多く、皮脂の分泌を抑えてコラーゲンやヒアルロン酸など肌のハリや弾力を作る成分を作り出します。プロゲステロンはホルモンの作りが男性ホルモンと似ていて、皮脂の分泌を増やしてします。排卵日~生理前の期間に増えますので、生理前になるとニキビが増えるという方は、ホルモンの影響を受けている可能性が高いでしょう。

⑤ カビの繁殖

主に胸や背中にできる赤いニキビは、マラセチアという真菌(カビ)の一種が原因の場合があります。厳密にはニキビではなく、マラセチア毛嚢炎といいますが、見た目がよく似ているためよく間違えられることが多いです。皮脂をエサとしているため、アクネ杆菌と同様に皮脂が増えると増殖します。また、マラセチアはカビなので、湿気を好み洋服で覆われている湿気のある場所で夏場や梅雨時期に増えて悪さをします。湿気の無い露出部分や乾燥している秋から冬にかけてはおとなしくなります。

⑥ 顔ダニの増加

顔ダニはニキビダニとも呼ばれ、正式には毛包虫(もうほうちゅう)と言います。0.1~0.4mmほどの大きさで、ほとんどの人の顔に200万匹(1つの毛穴に5匹くらい)常在しているダニです。通常は皮脂を食べて量の調節をしてくれるので、一般的なダニのように刺してかゆみを引き起こすなどの悪さはしません。しかし増えすぎるとニキビやかゆみを引き起こします。夜行性なので、夜のうちに活発に動き回って、朝起きた時に赤みやかゆみが出る特徴があります。

⑦ 遺伝

ニキビは遺伝が大きくかかわっていることが分かっています。イギリスで458組の一卵性双生児と1099組の二卵性双生児を対象とした研究が行われました。81%が遺伝的要因、19%が環境的要因に起因するといったデータがあります。いまニキビがない人でも、リスクが高い場合は対策することで、あらかじめ予防することができるとも言えます。

⑧ 生活習慣

 生活習慣が不規則だと、ニキビが悪化してしまう可能性があります。高脂肪・高たんぱく・高糖質の食事や、乳製品などを過剰に摂取するとニキビを引き起こします。また睡眠はターンオーバーを整えるために大切な役割を担っているので、十分な睡眠を確保することも必要です。さらに受験や就職活動、仕事でのストレス負荷がかかっていると、コルチゾールというホルモンが分泌されて悪化の要因になることも報告されています。身だしなみでは、前髪が顔や背中などの皮膚に触れないように工夫し、洗顔や入浴時に皮脂や汚れ、せっけんが残らないようにしっかり洗い流すことも大切です。また、枕カバーや布団などの肌に触れるものは清潔に保つようにしましょう。

今回のご紹介はここまでです。次回更新は8月下旬ごろ、「ニキビの重症度・保険診療」をご案内いたします。

ニキビ治療についてご興味のある方、是非お気軽にご相談ください。


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PROFILE

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山崎 和紀(やまざき かずのり)

杏林大学医学部 卒業
杏林大学医学部附属病院 勤務
名古屋大学医学部附属病院形成外科 勤務
静岡済生会病院形成外科 勤務
虎の門病院形成外科 勤務
東京西徳洲会病院形成外科部長就任
2018年アンデュースキンケアクリニック院長就任

日本専門医機構形成外科領域専門医
日本美容皮膚科学会正会員
サーマクール認定医


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