CLINIC
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こんにちは、アンデュースキンケアクリニック院長の山崎です。
10月になり、暑さが和らいでとても過ごしやすい季節になってきましたね。ここ最近は手術系のご相談が多いですが、特に昨年更新した2種類の糸リフトのブログの反響が大きく「今まではリフトアップの機械だけだったけど、もっと良くするためにフェイスラインリフトやこめかみリフトをやってみたいです。私におすすめの糸はありますか?」といったカウンセリングのご予約が増えました。また、ずっと通ってくださっている患者様だけではなく、初診の方や男性の患者様からのご予約もいただいております。
さて、今回の内容は同じ糸リフトですが、切らずに鼻の自然な高さを出す・鼻筋のラインを整えることが可能な「糸リフト(鼻背リフト)」をご紹介します。糸リフト(頬・フェイスラインリフト)や(こめかみリフト)などの手術系のご施術は、ダウンタイムを心配される方が多いので、今回ご紹介する鼻背リフトもしっかりとお休みができる長期休暇中に人気のご施術です。
糸リフト(鼻背リフト)とは、吸収糸(溶ける糸)を鼻筋に挿入し、鼻の高さを出してラインを整える治療法です。体内に吸収される糸を鼻に入れることで、自然な鼻のラインを作ります。
当院では「ULTRA V HIKO CANNULA」という吸収糸を使用しています。美容大国・韓国で作られた糸で、名前にもある「HIKO」はHIGH(高い)+韓国語で「コ(鼻)」という意味の造語です。この糸は、長年外科用の縫合糸として使用されてきたPCL(ポリカプロラクトン)という成分でできていて、安全性が高いと言えます。体の中でも、鼻は皮膚が薄く骨や軟骨が曲線的なところなので、当院ではしなやかで柔軟性のあるPCLを使用しています。もちろんレントゲンやMRIに写る心配はありませんし、自然に分解・吸収されるため異物が残らないこともメリットです。吸収糸の種類は他にもPDOやPLLAなどがあり、それぞれ異なった特徴を持っているため、適切な糸を選択する必要があります。日本人の鼻には湾曲があることが多いため、他の2種類と比較してしなやかで柔軟性があるPCLが最適といえます。吸収糸は永久的なものではなく、時間の経過で体に吸収される性質がありますが、PCLの吸収糸は約1~2年の持続期間があります。
「ULTRA V HIKO CANNULA」は針と糸が一体型になっているので、何度も刺すことがなく1度の刺入で糸を入れることができます。また針の先端部分は丸くなっていて、健康診断の採血などで使用される注射針のように尖っていません。先の丸いものを使用しているので、血管を傷つけるリスクが回避され、内出血などのダウンタイムを軽減することができます。
PCLにも形状や糸の種類がたくさんあります。当院で使用している「ULTRA V HIKO CANNULA」には小さなコグと呼ばれるトゲが付いています。以前にご紹介した「糸リフト(頬・フェイスラインリフト)」で使用している「TEX 3D」という糸にもコグが付いていますが、形状が異なります。糸リフト(頬・フェイスラインリフト)は皮膚組織をしっかりと持ち上げる必要があるため、しっかりとしたコグが必要でした。今回の糸リフト(鼻背リフト)は特に持ち上げる必要がありませんが、目に見えないほどの小さなコグが付いています。それではなぜコグが必要かといいますと、コラーゲン増生を促すためです。
皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層に分かれています。その中でも真皮には、乳頭層と網状層があります。表皮には神経が通っていないため、真皮の乳頭層にある神経が熱い・冷たい・痛いなどの感触を察知します。表皮には存在しない毛細血管やリンパ管があるため、表皮に栄養を与えたり老廃物を出したりする働きもあります。また、網状層のほとんどはエラスチンやコラーゲン、ヒアルロン酸でできていて、肌の形や弾力を保って外的な刺激から体を守っています。PCLを鼻に入れると肌組織が刺激され、真皮内でコラーゲン増生が促されて糸の周りにコラーゲンが巻き付いてきます。コグがあると、さらに刺激を与えられてよりコラーゲンが増えていくという効果があります。糸自体の高さに加え、皮膚の下でコラーゲンが増えて高さを出してくれるということです。刺激といっても、柔らかくてなじみのいいPCLに大きなコグを付けてしまうと、せっかくの持ち味が発揮されないため、微細なコグで十分というわけです。さらに糸自体が吸収されても完全にゼロになるわけではなく、コラーゲンが長期的に高さを出してくれます。
鼻を高く見せるための手術のことを隆鼻術(りゅうびじゅつ)といいます。隆鼻術にもたくさんの術式がありますが、当院では、鼻背(びはい)に吸収糸を挿入する、糸リフト(鼻背リフト)を行っています。 鼻背とは、鼻の付け根~鼻先までを結んだ直線のことを指します。一般的には鼻筋と呼ばれています。
鼻を高くするための手術は古くから行われていて、19世紀ごろにさかのぼります。
海外では1886年以降、自身のすねや肋骨、腸骨などを移植する方法がありました。しかし他の所から取った骨は、その場ですぐ鼻に合わせた形にしなくてはならないという難点があり、移植できても血管が通っていないため、栄養が送られず数年すると萎縮してしまいました。
1900年にはパラフィンと呼ばれる石油由来のものを入れる方法が出てきましたが、パラフィンは熱に弱く夏になると溶けてしまい、トラブルを引き起こしました。
1915年以降は象牙を入れたりして、日本でも普及し同様に行われてきました。象牙は動物由来のものなので、なじみが良いと思われていましたがトラブルが多く、また高価なため使用できるケースが限られていて、ピアノの鍵盤や三味線のバチを使用したこともあったそうです。
1939年ごろには、ポリグリルメタクリレート(PPMA)という素材が入れ歯の材料として広まり、のちに隆鼻術にも使用されました。しかし、一度入れてしまうと癒着をしてしまって、取り出すことが困難でした。
1955年ごろになって、生体に癒着しづらいシリコン素材のものが使用されるようになっていきました。しかしシリコンは自然なデザインが難しく、周囲の人に気づかれてしまいます。また異物を入れているためシリコンが合わないと鼻先が壊死してしまうなどの副作用や合併症のリスクがあります。 現代では、自家軟骨移植や吸収糸の挿入、ヒアルロン酸注入という方法が登場しました。自家軟骨移植は自身の耳などから軟骨を移植する方法です。シリコン同様にデザインが難しく不自然になってしまう方もいらっしゃいます。また軟骨を採取するため、耳に切開の傷ができてしまいます。鼻に移植した軟骨は繊細なため、日中はもちろんのこと、寝ている時も鼻がつぶれたり強い力が加わったりしないように配慮する必要があります。吸収糸やヒアルロン酸注入は、これまでの隆鼻術の問題点である、温度や衝撃に対する弱さ、癒着、異物感、副作用や合併症のリスクなどを最小限に抑え、これまでの隆鼻術の問題点を改善した、人気の施術です。
世界のたくさんの人種の中では、日本人の鼻は比較的短く・低いイメージがあると思います。それは人類の進化からなるものであると考えられています。鼻の働きは①加温加湿作用、②防御作用、③嗅覚の3つに分類されます。その中でも、鼻の形に関係してくるのは、加温加湿作用です。
外気が外気が冷たいまま取り込まれると、気道や肺を痛めてしまいます。冬の寒い時期に長距離を走ったりすると、肺の方まで痛くなった経験がある方もいるのではないでしょうか。適度に湿った鼻の中で、外気が加湿されます。鼻呼吸だと約90%の湿度になった空気が肺に送られます。一方口呼吸だと半減してしまうそうです。さらに鼻の中の粘膜にはたくさんの毛細血管があるので、血液の暖かさで加温されます。
外気温は、赤道に近いかどうかによって変化します。寒い国を挙げるとロシアやサンタクロースで有名なフィンランド、オーロラが見られるカナダなどがあります。つまり、赤道から離れるにしたがって寒くなるということになります。外気温が低い場合は、肺に取り込む空気をよりしっかりと温めなければなりません。そのため外気の通り道を長く、大きくする必要がありました。よって長く・高い鼻になったというわけです。日本は世界的にみると、高温多湿の気候で気温や湿度が高いため、鼻で温度を大きく調整する必要がありません。そのため日本人の鼻は、短くて低くなったと言われています。
鼻の形は、一般的に〇〇鼻と表現されることが多く、たくさんの種類や呼び方があります。
鼻先が丸くて小鼻が丸みを帯びている、高さがない形です。脂肪がつきやすく、皮膚が分厚くて硬い場合になりやすく、日本人に多く見られる鼻の形です。鼻先をツンとさせるためには手術が必要ですが、鼻筋を通してスッキリとさせたい場合や自然な変化を求める場合には、糸リフト(鼻背リフト)やヒアルロン酸注射がおすすめです。
笑っていない状態でも小鼻が横に広がっていて、あぐらをかいたようになっている鼻です。鼻の穴は大きさがあり、目立ちます。横に広がっているため存在感がありますが、鼻自体にはそれほど高さがありません。だんご鼻と同様に日本人に多く見られる形です。鼻筋に糸リフト(鼻背リフト)やヒアルロン酸を入れることで、高さが出るぶん相対的なバランスで小鼻が目立ちづらくなります。さらに、小鼻周囲の皮膚が引っ張られて小さく見えることもあります。いずれも自然な変化になります。
鼻先・小鼻の両方ともに丸みがあって、文字通りニンニクのような形の鼻です。笑うとより大きさが目立つのが特徴です。鼻の穴は、正面からも横からも特に目立つことはありません。だんご鼻・あぐら鼻と同様に日本人に多く見られる形です。鼻筋に糸リフト(鼻背リフト)やヒアルロン酸を入れることで、高さが出るぶん相対的なバランスで小鼻が目立ちづらくなります。さらに、小鼻周囲の皮膚が引っ張られて小さく見えることもあります。いずれも自然な変化になります。笑うと大きくなる状態は、筋肉が影響している場合がありますので、小鼻ボトックスをすると改善する方もいらっしゃいます。
わしのくちばしに似ていて、横から見た時に鼻筋がせり出たようにカーブし、鼻先が下向きに尖っている特徴のある鼻です。鼻筋の途中から骨が出っ張って角度が変わっている時は、かぎ鼻と呼ぶことがあります。わし鼻・かぎ鼻の方は鼻がとても高いため、日本人離れした華やかなイメージになりますが、男性的にみられることがあります。わし鼻・かぎ鼻のカーブをまっすぐにするには、ヒアルロン酸注射がおすすめです。高さが一番出ているところに合わせて足りない所にヒアルロン酸を注入することで、下向きに尖っている形や鼻筋の出っ張りを自然に変化させます。
鼻先が大きく下がっている鼻です。下方向に下がっているため、垂れ鼻と言われることもあります。おとぎ話に出てくる魔女の鼻に似ているため、実年齢よりも上に見られることがあります。当院には鼻先を小さくする施術はありません。
ギリシャ鼻は高さがあり、鼻筋が通っていて鼻根部分からまっすぐに高さがあることが特徴です。ほり が深い印象になります。日本人にはあまりいない鼻の形です。ギリシャ鼻の方は、鼻を小さく低く見せたいという要望を持った方が多いです。当院に鼻を小さく低くするための施術はありません。
鼻筋が通っていて、高さがあります。ギリシャ鼻と似ていますが、鼻根部分に違いがあります。鼻根部分で一度凹みがあり、それから鼻先に向かってまっすぐに高さが出ます。ほりの深い方に多い鼻の形で、日本人にはあまりいないです。ローマ鼻もギリシャ鼻と同様に、鼻を小さく低く見せたいという場合があります。当院には鼻を小さく低くするための施術はありません。
当院では糸リフト(鼻背リフト)も非常に人気がありますが、ヒアルロン酸(クレヴィエル)も人気の施術です。ではどのような点が異なるのか、それぞれの違いを詳しくご紹介します。
糸リフト(鼻背リフト)に使用する糸は、しなやかで柔軟性の高いPCLという種類の素材です。この素材は美容だけではなく医療の分野でも活躍していて、縫合の糸としてだけではなく、再生医療分野における人工血管の素材として使用されるなど、様々な医療現場で用いられており、安全性が高いものといえます。当院で使用している「ULTRA V HIKO CANNULA」は美容大国・韓国で作られた糸です。「GMP(Good Manufacturing Practice)」の適合認定をされていて、韓国の医療機器の製造及び品質管理基準を満たしています。約1~2年かけて体内に吸収されていきますが、その過程で糸の周りにコラーゲンが作られます。
当院で鼻筋に入れるヒアルロン酸は、主にクレヴィエルという、韓国で作られた製剤です。鼻に柔らかいヒアルロン製剤や十分な硬さのないものを使用すると、なじんでいく過程で入れた時点よりも広がってしまい、鼻筋が太くなって不自然な印象になってしまうことがあります。クレヴィエルは高濃度・高密度である程度の硬さがあるため形を保つことに優れており、時間が経っても広がりません。そのため鼻の骨のような筋を作るのに適しています。またアゴ先の形成にも使用しています。約1年かけて体内に吸収されます。
糸リフト(鼻背リフト)もヒアルロン酸注入も、痛みが出ないように刺入前に麻酔を行います。糸リフトの場合、まず「①鼻先」、そのあとは糸を挿入する「②鼻筋全体」の2段階に分けて麻酔をします。「①鼻先」は、表面に近いところに麻酔をしますので、採血などで使用するような先の尖った鋭針(えいしん)を使用します。使用する鋭針は、刺す痛みや内出血を最小限にするために、採血で使用する針よりも細いものを使用します。「②鼻筋全体」は、鼻にある大切な血管を傷つけないよう、鈍針(マイクロカニューレ)を使用します。針の先が丸くなっているため、刺入したときに血管を傷つけにくいという特徴があります。
ヒアルロン酸(クレヴィエル)の場合は、「①鼻先」の1か所にのみ麻酔を行います。この場合は表面に近いところにのみ麻酔しますので、採血などで使用するような先の尖った鋭針を使用しますが、針を刺す痛みを最小限にするため、糸リフト(鼻背リフト)と同様に、採血で使用する針よりも細いものを使用します。
糸リフト(鼻背リフト)は、一体型の針と糸を鼻先から挿入し、鼻筋に対して並行に入れ、全体的なラインを出していきます。入れた糸はそれぞれの鼻筋の長さにカットして、一人ひとりにあった長さで挿入しています。なじみが良いまっすぐで丈夫な糸を挿入するため、鼻の形に添いながらまっすぐで自然な鼻筋のラインを作ることができます。
鼻のヒアルロン酸は、鈍針(マイクロカニューレ)を使用して、鼻先から注入していきます。全体的に鼻筋をスッとさせる場合や鼻根の低いところに注入して高さを出したり、鼻筋や高さの調整をしたりする場合、鼻筋の骨が1か所ポコっと出てしまっていて「出ている骨を目立たなくしたい」場合など、鼻筋全体に注入することもあれば、局所の必要な部位に注入することもあります。ヒアルロン酸はジェル状なので形を変えることができ、欲しいところに必要な分だけ入れることが可能です。
今回のご紹介はここまでです。次回更新は11月中旬ごろ、切らない隆鼻術「糸リフト(鼻背リフト)」施術風景とQ&Aや効果・メリット、おすすめの方、施術の流れと頻度・注意点・まとめについてご案内いたします。
糸リフト(鼻背リフト)の治療についてご興味のある方、是非お気軽にご相談ください。
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PROFILE
山崎 和紀(やまざき かずのり)
杏林大学医学部 卒業
杏林大学医学部附属病院 勤務
名古屋大学医学部附属病院形成外科 勤務
静岡済生会病院形成外科 勤務
虎の門病院形成外科 勤務
東京西徳洲会病院形成外科部長就任
2018年アンデュースキンケアクリニック院長就任
日本専門医機構形成外科領域専門医
日本美容皮膚科学会正会員
サーマクール認定医
アンデュースキンケアクリニック
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